2024 年 2024 巻 665 号 p. 665_37-665_52
生命保険各社は,様々な商品やサービスを提供しているが,その内容は社会環境や顧客ニーズに伴い,時代と共に変化している。こうした社会環境の変化の1つに先端医療の出現があるが,本稿では,がんの早期発見技術,がんゲノム医療,デジタル・セラピューティクス,および,再生医療等の4つの先端医療技術を題材に,生命保険会社の取組みをとりあげ,その課題について考察した。生命保険会社は従来のやり方に留まらない柔軟な対応により,先端医療技術の普及・活用に貢献し,顧客の健康増進や公的保険の補完といった「生命保険業界の役割」を果たしていくこと,一方で,技術によりもたらされる可能性のある新たな顧客の不安や生命保険経営への影響について,十分留意していくことが必要である。