2024 年 2024 巻 665 号 p. 665_53-665_68
先進医療の実施医療機関数や患者数は増加傾向にあったことから,先進医療は一定程度普及していると考えられる。しかし,先進医療の普及・利用拡大には,医療機関・患者双方からの課題がある。特に患者側における先進医療利用の主な課題は,高額な治療費の自己負担や,提供可能な医療機関数が少ないことに起因する地域格差などがある。また,先進医療の実施にあたって求められる患者側の基本的な先進医療に関する知識についても,普及しているとはいい難い。民間保険は経済的負担をサポートすることで,治療費の自己負担や地域格差といった,患者にとっての課題の解決の一助となっている。また,民間保険は,当該補償の募集により先進医療の知識の周知にも貢献している。実際,民間保険の先進医療補償加入者の事故発生率は,一般統計から算出したものに比べて高い傾向にあることから,民間保険は先進医療の利用促進に一定の役割を果たしていると推察している。