2010 年 13 巻 p. 19-27
インターンシップの普及・多様化に伴って必要とされる職業・社会への移行に関わるキャリア教育としての評価枠組みの探究を目的とし、これまでの評価枠組みの議論を再考した。多くが、個々人の内的特性だけを扱い、教育方法との関連についての探究が欠け、組織としてのキャリア教育的な機能の考察が不足しているという限界を有している。そこで、デューイの「連続性」と「相互作用」という「経験による教育」の評価原理の適用について考察し、高校におけるインターンシップの全国調査データを再分析した結果、インターンシップの無業抑止効果が明らかになった。それは、インターンシップの計画段階から確認されるもので、個人の能力形成というよりも組織のキャリア教育の力であり、具体的には、体験的な進路指導活動の実施と関連しか総合的な無業等抑止効果として説明可能である。また、インターンシップの内容的な充実(長期化や参加生徒数増加など)も重要な課題であるが、その「無業者等」率抑制効果は、職業専門学科よりも普通科で大きいことが明らかになった。さらに、インターンシップ導入に伴うキャリア教育の充実という「相互作用原理」、より充実したインターンシップへの継続・発展という「連続性原理」、それぞれの重要性が確認された。