日本関節病学会誌
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原著
閉経後女性の母指CM関節症に対するHybrid suspensionplastyの治療成績
久保田 豊川崎 恵吉富田 一誠根本 哲也稲垣 克記
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2020 年 39 巻 2 号 p. 53-59

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抄録

目的 : 母指CM関節症に対して, 当科で行っているHybrid suspensionplasty (Ligament reconstruction with tendon interposition arthroplastyとsuture buttonを併用した方法) について, 閉経後女性のみを対象とし, その有用性について報告する。

方法 : 対象はHybrid suspensionplastyを施行し12か月以上経過観察しえた, 19例20手を対象とした。Eaton分類は2 : 3 : 4型が各々3 : 14 : 3手であった。これらの症例に対し, 臨床・画像評価, 術中術後の合併症を調査した。

結果 : 術後の疼痛VASは81.5から9.8まで減少し, 全例改善した。最終診察時の握力の健側比は113.8%, ピンチ力は105.4%, 最終診察時の平均可動域は橈側外転/掌側外転が47.8°/45.8°, MP関節屈曲/伸展が47.9°/18.4°, 平均DASH scoreは19.8 pointであった。大菱形骨腔長は, 術前・術直後と比較し最終時は有意に短縮していた。また, 平均母指列短縮の比率T/M比 (大菱形骨腔距離/第一中手骨長) は術直後と比較し3か月までは有意に低下し, それ以降は統計学的には差がなかった。

 合併症は, FCR腱の損傷が3例 (半裁腱採取時に前腕近位1/3で断裂が2例, 大菱形骨摘出時にその直下で部分損傷が1例), tight-ropeのボタンの落下が1例, 橈骨神経領域の一過性のしびれが2例であった。

考察 : 閉経後女性の母指CM関節症に対するhybrid suspensionplastyは, 短期成績ではあるが, 術後の機能評価は良好であった。

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