2020 年 39 巻 2 号 p. 61-67
目的 : 本邦の人口高齢化に伴い, 高齢で新規に発症する高齢発症関節リウマチ (elderly-onset rheumatoid arthritis: EORA) も増加している。今回我々は, EORAにおける臨床経過について検討したので報告する。
方法 : 対象は, 2014年4月から2019年1月までに当科リウマチ外来を受診しRAと診断され, 抗リウマチ治療を開始されて6か月以上経過が確認できた101例とし, 65歳未満発症RA (young-onset rheumatoid arthritis: YORA) 群とEORA群の2群にわけ, 患者背景, 抗リウマチ薬使用状況, 臨床経過について比較検討した。
結果 : EORA群では, 男性発症例が多く, CRPも高く, eGFRは低下していた。Methotrexateは治療経過中の平均最大用量と平均最終用量においては, YORA群と比較してEORA群では低用量であったが, 導入率と継続率は両群間に差は認められず, 生物学的製剤の導入率と継続率にも両群間で差は認められなかった。最終経過観察時の疾患活動性については, Disease Activity Score 28-CRP, Simplified Disease Activity Index, Clinical Disease Activity Indexすべてにおいて, 両群間の寛解達成率に有意差を認めなかった。
考察 : 高齢発症関節リウマチでも, 若年発症関節リウマチ治療と同様にTreat to TargetとTight controlを実践できる可能性が示唆された。