日本関節病学会誌
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原著
次世代型PRPのAPS (Autologous Protein Solution) 療法 施行6か月での臨床経過の検討
桑沢 綾乃仁平 高太郎
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2020 年 39 巻 4 号 p. 426-435

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抄録

目的 : 関節症の第3の治療としてplatelet rich plasma療法 (PRP療法) などの再生医療cell therapyが注目されている。当院では2018年8月から本邦で使用可能となった次世代PRPといわれるAutologous Protein Solution (APS) の使用を開始した。APSはPRPをさらに脱水生成させ抗炎症性サイトカインを高濃度に抽出し, 膝OAの約9割に生じている関節炎に有効とされるが, 本邦での臨床経過の報告はまだない。このAPS施行後6か月の臨床経過を検証し, 有効率や関節液貯留例の抗炎症作用効果を検証する。

方法 : 2018年8月からAPS療法施行し, 6か月間経過観察可能であった106膝を対象とした。検討項目は施行前, 施行後1, 3, 6か月のKOOS, OMERACT-OARSIによるresponder率, 関節液貯留例の臨床評価, 有害事象として施行後急性期反応 (疼痛・腫脹) の有無とした。

結果 : KOOSは施行前と比較し, KL分類の重症度にかかわらず施行後1, 3, 6か月ともに改善した。Responder率は60.4%であった。施行前に関節液が5mL以上貯留した35例中94%で関節液量が減少したが, KOOS-symptomの改善は貯留のない例より時間を要した。急性期反応は59.4%でみられた。

結語 : APS療法の6か月の成績ではKL分類の重症度にかかわらずKOOSは改善した。APSは抗炎症性作用として関節炎の強い症例の関節液貯留量を減少させた。

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