日本関節病学会誌
Online ISSN : 1884-9067
Print ISSN : 1883-2873
ISSN-L : 1883-2873
原著
人工股関節全置換術後1日目に肺血栓塞栓症を発症した症例の造影CTにおける検討
—片側THAと両側THAの違いが術後肺血栓塞栓症発症に与える影響—
大野 由紀雄大矢 昭仁古郡 宏行中村 賢菊池 駿介木村 篤史二木 康夫中村 雅也松本 守雄金治 有彦
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 40 巻 1 号 p. 1-6

詳細
抄録

目的 : 人工股関節全置換術 (THA) の合併症として静脈血栓塞栓症 (VTE) がある。VTEは深部静脈血栓症 (DVT) と肺血栓塞栓症 (PTE) を合わせた疾患概念であり, 特に症候性PTEはときに致死的となるため予防と早期発見が重要である。本研究の目的はTHA後のPTE発生率を調査し, 片側THAと両側THAの違いが術後PE発生率に与える影響について検討することである。

方法 : 2014年1月から2018年6月までに当院で初回THAを行い術翌日に胸部から下肢までVTE検索のため造影CTを撮影した578例を対象とし, 片側例と両側例の2群間でPTE発生率を比較検討した。また, PTE陽性となった症例についてDVTの有無を調査した。

結果 : 両群併せて578例中PTEは21例 (3.6%) にみられたが全例無症候性であった。PTE陽性例は片側群18例 (3.7%), 両側群3例 (3.2%) でPTE発生率は両群間に有意差を認めなかった。PTE発生例のDVT合併率は片側群3例 (16.7%), 両側例0例 (0%) で全例膝窩静脈より遠位で発生し, 両群間の発生率に有意差を認めなかった

考察および結論 : 片側THAと両側THA術後のPTE発生率に有意差はなく, 全例が無症候性であった。今回の検討でTHA術後には片側, 両側に関わらずおよそ3%程度の割合でPTEが発生していることが示唆された。しかし少数例の検討であるため症例を増やしてさらなる検討を行う必要がある。

著者関連情報
© 2021 日本関節病学会
次の記事
feedback
Top