日本関節病学会誌
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原著
酸化ストレスマーカーd-ROMsの骨質評価マーカーとしての可能性の検討
園部 正人中島 新高橋 宏赤津 頼一齊藤 淳哉山田 学坂本 卓弥秋山 友紀栁澤 啓太中川 晃一
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2021 年 40 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

目的 : 骨強度は骨密度と骨質で規定され, 骨質の評価も重要であるが, 確立された骨質評価マーカーはない。加齢や閉経, 生活習慣病などで高まる酸化ストレスは骨質劣化の原因とされており, 酸化ストレスマーカーであるd-ROMsが, 骨質評価マーカーとなり得るか検討した。

方法 : 2016年1月から2019年5月までに当院で人工膝関節置換術を施行した症例のうち, DXA, 腰椎XP, 股関節XP, d-ROMsの全データが確認できた123例を対象とした。DXA法による腰椎・大腿骨頚部のYAM値と, 脆弱性骨折 (椎体骨折, 大腿骨近位部骨折) の有無で骨質の状態を推測・定義し, YAM値≦70%でも脆弱性骨折がない症例を骨質が正常のため骨折していないと判断し (骨質正常群, n=26), 一方, YAM値>70%でも脆弱性骨折を認める症例を骨質が劣化しているため骨折したと判断した (骨質劣化群, n=13)。骨質正常群と骨質劣化群の2群間で, 年齢, 性別, BMI, 生活習慣病 (糖尿病, 脂質異常症, 慢性腎臓病, COPD) やRAの罹患, ステロイド使用, d-ROMs値について統計学的解析を行った。

結果 : 単変量解析では, d-ROMs値のみ有意差を認め, 骨質劣化群は骨質正常群に比べ有意にd-ROMs値が高かった。多変量解析でも, d-ROMs値は骨質劣化に関連する独立した因子として抽出された。

結論 : d-ROMsは骨質評価マーカーとなり得る。

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