日本関節病学会誌
Online ISSN : 1884-9067
Print ISSN : 1883-2873
ISSN-L : 1883-2873
総説
関節リウマチ患者の訴える痛みに如何に取り組むか
〜寛解後も残存する痛みを修飾する因子と愁訴の関係性を中心に〜
島原 範芳中野 正規内山 裕貴上甲 雄太郎西岡 直哉西岡 沙央理祖川 稔史赤松 和紀佐藤 信治田中 由紀澤田 直哉奥田 恭章大西 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 40 巻 2 号 p. 134-140

詳細
抄録

 生物学的製剤 (biological DMARDs: b-DMARDs) により関節リウマチ (rheumatoid arthritis: RA) は寛解が現実的な治療目標となったが, 痛みに対する愁訴が残る患者は存在する。

 そのような症例については破局的思考などの心理情動的問題の影響が報告されており, 当院を含めた多施設研究データの解析でも, 愁訴に影響を及ぼす心理情動的問題は, 主症状である疾患活動性や疼痛強度との関連性が低いことがわかっている。さらに, 罹病期間や年齢といった要因とも関連が低い傾向を示した。一見, 理解しがたいこの病状こそがRA患者の痛みに対する愁訴に対する理解や解釈を難しくしている要因である。

 b-DMARDs主流時代, 痛み自体が日常生活機能を制限することは少なくなってきているが, 何らかの身体機能障害や身体活動量の低下といった身体機能因子による問題は存在し, そこには寛解, 低疾患活動性下にも僅かに残存する痛みが介在している。本稿では, 残存する痛みと機能障害, 精神心理的因子, そして生活の質との関連性を論じつつ, b-DMARDs主流時代のRA患者の痛みに対するリハビリテーション医学・医療の在り方について理学療法士の立場から論述する。

著者関連情報
© 2021 日本関節病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top