目的 : 変形性膝関節症 (OA) に対するPRP治療の有効性が示されているが, PRPの組織修復作用で軟骨は修復されるだろうか。次世代PRPと言われるAPSにおいて軟骨修復の有無を検討するため, メカニカルストレスが少ない膝蓋骨に着目し治療前後の軟骨体積量の変化を解析した。
方法 : APS治療を受けた100膝を対象に, 施行前・6か月後のMRI画像をVINCENT膝解析ソフトを用いて定量解析し, 膝蓋骨軟骨体積を計測。軟骨体積量の増減を算出, 軟骨欠損面積の程度から軟骨欠損なし群, 軽症群, 重症群に分けて検討した。
結果 : 体積の変化は, 全体では2.43→2.43mLと増減はなかったが, 体積量5%以上の増加例が18膝, 減少例は15膝あった。欠損重症度別では, なし群・重症群では増減はなかったが, 欠損軽症群のみ有意に体積量が増加した。
考察 : OA膝では自然経過で年間4.5%の膝蓋骨軟骨体積が減少すると報告もあり, 全体で減少せず, 増加例もみとめたことはAPSによる組織修復作用の可能性を示唆している。また, 軽症群のみ軟骨量が増加したことは, 損傷部位の状態により軟骨修復に差が出る可能性があると考える。
結論 : 軟骨欠損軽症群で膝蓋骨軟骨体積量の有意な増加をみとめ, APS療法では組織修復作用による軟骨修復が得られる可能性がある。