日本関節病学会誌
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原著
荷重部の後方壊死範囲が大腿骨頭壊死の圧潰停止に影響する
大澤 郁介関 泰輔竹上 靖彦加藤 大策竹本 元大
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2022 年 41 巻 4 号 p. 275-279

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抄録

目的:圧潰をきたした大腿骨頭壊死が自然経過において圧潰停止し,長期的に手術治療を回避できることは少なくない。我々は骨頭後方の壊死領域の範囲が大腿骨頭壊死の圧潰停止に関与すると仮説し,後方壊死領域と圧潰停止の関係性について調査した。

対象および方法:2010年から2016年までに当院に初回受診した片側症状かつ圧潰が3mm以内(Stage 3A)の大腿骨頭壊死77例を対象とした。性別は男性37例,女性40例で平均年齢は45.1歳,平均観察期間は48.7か月,Type分類(B/C1/C2)は3/35/39であった。調査項目は圧潰停止の有無,骨頭後方壊死領域とした。圧潰停止は初診から2年時点で3mm以内の圧潰にとどまった場合に圧潰停止と定義した。骨頭後方壊死領域はMRI横断面で骨頭後方1/3レベルの冠状断T1 MRIにおける荷重面おける壊死領域の割合を評価した。ROC曲線を用いて圧潰停止が得られる後方壊死領域のcut off値を割り出し,cut off値より圧潰進行(>3mm)および人工股関節全置換術をendpointとした生存率を評価した。

結果:圧潰停止は31例(40%)に認めた。後方壊死域は圧潰停止例43.1±31.8%に対して圧潰進行例95.6±19.1%で有意差を認めた(P<0.01)。ROC曲線のAUCは0.946でcut off値は後方壊死領域68%(感度96%,特異度92%)であった。圧潰進行および人工股関節全置換術をendpointとした4年生存率は後方壊死領域>68%では6.9%および33%に対し,後方壊死領域<68%では96%および93%でいずれも有意差を認めた(P<0.01およびP<0.01)。

結論:一旦圧潰をきたした大腿骨頭壊死においても後方壊死領域が2/3以下の症例は高い確率で自然経過による圧潰停止が期待でき,保存的治療を行うか判断する際の有効な指標となる。

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