日本関節病学会誌
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原著
逆V字型高位脛骨骨切り術後におけるX線学的骨癒合の完成時期:特に骨癒合の進行に関する3型の影響について
薮内 康史安田 和則小野寺 純上田 大輔八木 知徳近藤 英司甲斐原 拓真山口 純岩崎 倫政
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2022 年 41 巻 4 号 p. 280-286

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抄録

目的:逆V字型高位脛骨骨切り術(iVHTO)術後の骨癒合の進行形態と骨癒合完成時期を明らかにすること。

方法:症例はiVHTOを行った内側型膝OAの107膝(92例,平均61歳)である。単純X線写真およびCTを用いて骨癒合の進行形態を分類し,骨癒合完成時期を判定した。

結果:107膝中103膝(96.3%)で骨癒合が得られ,骨癒合完成時期は平均3.1か月であった。4例(3.7%)では追加手術を行った。骨切り面における骨癒合の進行形態は,①矯正ヒンジ部および外側接触面を新生骨梁が貫通して骨癒合する骨梁新生(T)型(76.6%),②外側接触面に狭い骨透亮線が発生するが,皮質骨周囲に新生した仮骨によって骨癒合する仮骨形成(C)型(14.0%),③術後5~12週時に脛骨後方に骨融解像と仮骨新生が出現する骨融解(O)型(9.3%)の3型に分類できた。骨癒合完成時期は,T型で2.7か月,C型で3.8か月,O型の6膝で5.2か月であり,3型間に有意差を認めた(P<0.001)。

考察:本研究は,iVHTOが良好な骨癒合が得られる術式であることを示した。また骨癒合の進行形態がT型,C型,O型の3型に分類できた。T型とC型は正常な骨癒合進行形態と考えられ,骨癒合時期は2.9か月と良好であった。特にT型の存在はiVHTOにおける骨切り面の高い密着性と固定性を示唆した。

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