はじめに:鎖骨遠位端骨融解症は保存加療が第一選択で,無効例には手術が選択される。しかし,手術選択の判断は難しく,漫然と保存療法が施行される印象がある。今回,挙上時にロッキング症状とともに疼痛と可動域制限を認めた症例に鏡視下遠位端切除術を施行し良好な結果を得たので報告する。
症例:症例は49歳女性。歩行中に車と接触後,転倒し当院へ救急搬送された。単純X線で異常所見認めないため近医を紹介した。しかし,その後も症状は改善せず,MRIで鎖骨遠位端に高信号を認め受傷後4か月で当院再診。肩鎖関節の圧痛,挙上80度にてロッキング症状とともに激しい疼痛を訴えた。ロッキングは鎖骨遠位端と肩峰がインピンジするためと考えられた。日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下,JOAスコア)は58であった。
単純X線とCT画像では鎖骨遠位端の融解像があり肩鎖関節の不安定症と鎖骨遠位端骨融解症と診断した。再診から1か月後に鏡視下鎖骨遠位端切除術を施行した。
結果:術後6か月でのJOAスコアは76.5だった。術後12か月では屈曲180度,外転180度,下垂位外旋90度,内旋は第10胸椎,JOAスコアは90と改善し,疼痛も消失し再発していない。
考察:鎖骨遠位端骨融解症では下垂位で脱臼を呈さなくとも不安定性により鎖骨遠位端と肩峰が激しくぶつかり合う症例があると考えられる。このような症例では,積極的に手術療法を考慮すべきである。