日本関節病学会誌
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原著
Adverse pelvic mobility,Flatback deformity,Stiff spinopelvic mobilityの三次元動態
原田 哲誠濵井 敏幸 博和原 大介山口 亮介川原 慎也山手 智志國分 康彦小西 俊己中島 康晴西岡 俊樹権藤 大貴日垣 秀彦
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2024 年 43 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

目的:Adverse pelvic mobility(APM),Flatback deformity(FB),Stiff spinopelvic mobility(SPM)における三次元動態の特徴を解析することで,人工股関節置換術におけるCup設置の目標値を示すこと。

方法:脊椎固定患者40人(腰椎単椎間,腰椎多椎間,腰仙椎単椎間,腰仙椎多椎間の各10人)を対象とした。座位起立動作の連続X線撮影を行い,イメージマッチング法を用いた三次元動態解析により骨盤前後傾と股関節屈伸角を算出し,CTより臥位の角度も測定した。APM(臥位−立位Δ骨盤傾斜>13°),FB(PI-LL mismatch≧10°),Stiff SPM(立位−座位Δ骨盤傾斜<10°)の有無で,座位起立動作中の骨盤・股関節動態を比較した。

結果:APM有群(15人,38%)は無群と比べ,臥位−立位の骨盤後傾量は9°,股関節伸展量は5°大きく,立位の骨盤後傾は6°増加していたが,臥位と座位起立動作中の股関節動態に有意差はなかった。FB有群(24人,60%)は無群と比べ,臥位−立位の骨盤後傾量と股関節伸展量に有意差はなく,臥位と座位起立動作中の骨盤後傾は7~9°,股関節伸展角は6~9°増加していた。Stiff SPM有群(24人,65%)は無群と比べ,臥位−立位の骨盤後傾量と股関節伸展量,および臥位と立位の骨盤前後傾と股関節屈伸展角に有意差はないが,座位(座位起立動作の初期姿勢)と深座位(股関節最大屈曲角となる姿勢)の骨盤後傾は7~10°,股関節伸展は7~10°低下していた。

考察:APMは骨盤後傾増加に応じたCup減捻を行うと後方脱臼リスク増加の可能性がある。FBは臥位FPPに対したCup前捻設置が必要であり,Stiff SPMは前傾増加に応じたCup約6°の増捻が目安となる。

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