日本関節病学会誌
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原著
TKA術前後のCoronal Plane Alignment of the Knee(CPAK)分類phenotypeは患者立脚型アウトカムに影響するか?
小西 俊己濵井 敏津嶋 秀俊川原 慎也赤崎 幸穂鮎川 周平山手 智志亀山 みどり中島 康晴
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2024 年 43 巻 1 号 p. 24-31

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抄録

目的:個人で異なる生来のアライメントを予測するために提唱されたCoronal Plane Alignment of the Knee(CPAK)分類に基づくTKA術前後のphenotypeが,術後中期以降の患者立脚型アウトカムに影響するか否かを検討すること。

方法:2013年から2019年に当院で変形性膝関節症に対して初回TKAをmechanical alignment(MA)法で施行した187名231膝(年齢74±8歳,術後経過期間4.2±1.8年)を対象とし,患者立脚型アウトカムとしてKSS 2011,KOOS-12,FJS-12を調査した。術前後全下肢正面X線画像よりMPTA,LDFAを計測,aHKA,JLOを算出,CPAK分類phenotypeを同定した。患者背景,術前後aHKA,JLOを因子として,ステップワイズ法を用いた多変量解析を行い,KSS 2011,KOOS-12に及ぼす影響を調査した。

結果:術前CPAK分類はphenotype(Ⅰ)が最も多く53%,術後CPAK分類はMA法の目標であるphenotype(Ⅴ)が最も多く26%であった。多変量解析の結果,術前後でaHKAが変化しないことがすべての患者立脚型アウトカムへの有意な正の影響因子であり,術後JLOが内方傾斜またはニュートラルであることがKSS 2011への有意な正の影響因子であった。

考察:TKA術前後のCPAK分類phenotypeは術後中期以降の患者立脚型アウトカムに影響していた。術後aHKAは術前と分類が変わる,術後JLOは外方傾斜になると患者立脚型アウトカムが低下するため,CPAK分類に基づく術前計画および再現のある達成は患者立脚型アウトカムのさらなる改善に有用であると示された。

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