2024 年 43 巻 4 号 p. 331-334
はじめに:人工膝関節全置換術(以下,TKA)支援ロボットROSA Kneeでは術中に徒手的に加えた内外反ストレスから関節開大距離を弛緩性として計測可能で,得られた弛緩性をもとに骨切り量を調整し目標とする関節ギャップ設定が可能である。大腿骨後顆の骨棘切除で伸展ギャップが開大することが知られ,伸展ギャップ獲得後に後顆骨棘切除で開大する伸展ギャップの予想が必要である。
目的:ROSA Kneeを計測ツールとして,伸展ギャップ獲得後に大腿骨後顆の骨棘切除を行い,大腿骨後顆骨棘切除による伸展ギャップ開大量を計測した。
方法:2020年4月から2023年10月までにROSA Kneeを用いてTKAを施行したうち内反変形を有する変形性膝関節症38膝を対象とした。全例Zimmer Biomet社Persona(CR 9膝,PS 27膝)を用いてMechanical Alignmentを目標としてTKAを行なった。関節包展開後,後方を除く骨棘,半月板を切除し,弛緩性を計測した。続いて大腿骨遠位および脛骨近位骨切り後,後方に遺残した半月板,大腿骨後顆の骨棘を切除し,得られた伸展ギャップを40Nのテンサーを用いて計測し,骨切り前に得た弛緩性と大腿骨後顆の骨棘切除後の弛緩性について比較を行った。
結果:骨切り前の内側の伸展弛緩性は4.2±2.7mmで,大腿骨後顆の切除後は5.6±3.2mmであった(P<0.05)。伸展ギャップは切除前,伸展内側16.5±3.7mm,伸展外側21.7±2.2mm,切除後伸展内側17.3±3.4mm,伸展外側20.2±2.7mmであった。
結語:大腿骨後顆骨棘切除によって伸展内側弛緩性は約1.5mm広がった。適切な内側ギャップの安定性を得るために,術前予想伸展ギャップ値を約1.5mm減じて設定する必要がある。