日本関節病学会誌
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原著
変形性膝関節症患者に対する自己タンパク質溶液(APS)治療の歩行能力,膝関節可動域・筋力への効果
松本 尚伊藤 雄三上 兼太朗鈴木 信石田 知也井上 千春金子 知青木 喜満
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2024 年 43 巻 4 号 p. 335-341

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抄録

目的:膝OA患者に対するAPS治療による歩行能力および膝関節機能の短期的効果を検討すること。

方法:APS治療を施行した膝OA患者22名25膝(69.9±11.4歳)を対象とした。KL分類は,grade 2が5膝,grade 3が8膝,grade 4が12膝であった。評価項目は,歩行時痛(VAS),膝ROM,等尺性膝筋力,TUGテスト,KOOSとし,治療前と治療後1,3,6か月で比較した。

結果:歩行時痛はAPS治療前(38.7mm)と比較し,APS治療後6か月(22.7mm)で有意に減少し,TUGテストは治療前(9.0秒)と比較し,治療後1,3,6か月(それぞれ,8.1,8.2,8.0秒)で有意に改善した。KOOSは5つのsubscaleすべてにおいて有意な経時的改善を認めた。一方,膝ROMおよび筋力は,治療前後で有意な変化を認めなかった。

考察:APS治療により,6か月間の短期経過観察では,膝OA患者のKOOSは有意に改善した。さらに,歩行時痛の減少とTUGテストの改善を認め,APS治療は歩行能力改善にも有用であることが示された。一方,膝ROMおよび筋力には有意な改善を認めなかった。膝OAに対するAPS治療の効果を高めるためには,ROMおよび筋力トレーニングの併用が有用である可能性が示唆された。

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