日本関節病学会誌
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臨床症例報告
踵骨骨嚢腫術後感染に対する治療経験
坂井 達弥藤井 政徳長嶺 里美河野 俊介
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2025 年 44 巻 3 号 p. 327-330

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抄録

単純性踵骨骨嚢腫は無症状で偶発的に発見されることが多いが,病的骨折リスクがある場合は手術適応とされる。一般的な治療法は病巣掻爬と骨移植であり,その治療成績は良好で,これまで術後感染の報告はない。今回,16歳男性の右踵骨骨嚢腫術後にMSSA感染を生じた。初療医で抗菌薬治療と掻爬洗浄術を施行されるも効果なく,当院にて骨セメント除去と抗菌薬充填ハイドロキシアパタイトを挿入した手術を行なった。術後6週間の免荷と抗菌薬治療を行い,経過は良好で,術後1年において感染の再燃やADL制限なく経過している。踵骨骨嚢腫術後感染は稀であるが,早期の異物掻爬を含めた適切な対応と治療が必要であり,本症例の治療法は中長期の経過観察を要するものの,早期にADLを再獲得できる有効な方法である。

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