2025 年 44 巻 4 号 p. 336-342
はじめに:近年,変形性股関節症(股OA)に対するPRP関節内注射の可能性が報告されてきているが,疼痛抑制メカニズムに関しては不明な点が多く,股関節内構造物に対する影響を検討した報告はない。本研究の目的はPRP投与前後における関節内構造物の異常所見の変化をMRIにて半定量評価し,疼痛改善度との関係を明らかにすることである。
対象と方法:対象は,股OAに対してPRP関節内注射を行った26例(平均年齢 58歳,男性3例,女性23例)である。PRPの調整は提携している細胞加工施設で行い,関節内投与はエコーガイド下に,2週ごとに計3回投与した。MRIによる関節内構造物の評価は,Scoring Hip Osteoarthritis with MRI (SHOMRI)を水腫/滑膜炎の評価はHip Inflammation MRI Scoring System (HIMRISS)を用い,投与後6ケ月時点のPain-VAS及びWOMAC-pain改善度と各構造物スコア改善度の関連を検討した。
結果:Pain-VAS及びWOMAC-pain改善度と有意な相関を認めた項目は水腫/滑膜炎のみ(P<0.001)であり,残りの軟骨,骨髄浮腫,骨嚢胞,関節唇,大腿骨頭靱帯とは相関を認めなかった。
考察:Pain-VAS改善率と関連を認めたのは,水腫/滑膜炎のみであり,PRPの疼痛抑制効果は関節内炎症の改善によるものと考えられた。股OAに対するPRPの疼痛抑制メカニズムにおいても膝OAと同様に抗炎症作用が関与している可能性があることが考えられ,今後更なる研究が必要である。