睡眠と環境
Online ISSN : 2758-8890
Print ISSN : 1340-8275
総説論文
睡眠力の向上が「脱・睡眠負債」の鍵 !!
- 眠りやすい夜を迎えるための週に3 日の意識改革 -
田村 典久田中 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 15 巻 1 号 p. 27-37

詳細
抄録
睡眠は,児童・生徒の健康ならびにウェルビーイングの本質である。しかし, 既報では,睡眠不足が,世界各国の子どもに共通してみられること,広範囲に及ぶ身体的・ 精神的健康の悪化と関連することが指摘されている。これら睡眠不足によって児童・生徒 に多くの影響が及ぶことを考えると,彼らやその保護者,教職員に健康睡眠に関する教育 と,そのような睡眠の確保を促すツールを提供していくことが不可欠である。そこで本稿 では,児童・生徒に共通する睡眠の問題を概観するとともに,学校場面での睡眠教育の実 践例について報告する。児童・生徒に共通の睡眠問題,学校場面での睡眠教育に関するレ ビューの結果,以下の4 点,(1)睡眠時間は年齢とともに減少することが確認されたが, 特にその傾向は児童期に比べて青年期で著しい,(2)睡眠不足に起因する睡眠負債は,平 日と休日の起床時刻の乖離の引き金となっている,(3)これら睡眠の問題は日中の眠気や 精神的・身体的健康の低下と関連する,そして(4)自己調整法を伴う睡眠教育プログラム は,児童・生徒の不規則な睡眠習慣,日中の眠気,イライラの改善に効果的である,こと が明らかとなった。そしてその上で,学校で睡眠教育プログラムを成功させるためのキー ポイントについて議論した。
著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本睡眠環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top