抄録
本稿では,中学生,高校生への自己調整法を用いた睡眠教育の効果について概説することを目的とする。筆者らは,睡眠促進行動チェックリストと目標設定に基づく手法(自己調整法)を併用した睡眠教育プログラムの実施が,中学生,高校生の睡眠促進行動や睡眠習慣, 日中の眠気に与える効果を検討した。学校での自己調整法を用いた睡眠教育は,夜型化や不規則な睡眠―覚醒パターンの改善,また,入眠潜時や睡眠満足度,起床時の気分,日中の眠気の改善にも有効であることがわかった。さらに,アクティブ・ラーニングを用いた睡眠教育も睡眠促進行動の改善,イライラの軽減に有効であった。また,本稿では学校における睡眠教育の重要性に言及し,(1)睡眠改善支援には適切な知識の普及,(2)支援ツールの提供,(3)人材育成が必要であることを指摘した。