睡眠と環境
Online ISSN : 2758-8890
Print ISSN : 1340-8275
睡眠健診の実現にむけて:子ども睡眠健診プロジェクトの現状
南 陽一 岸 哲史上田 泰己
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2024 年 18 巻 2 号 p. 21-26

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抄録
日本人の睡眠時間は世界的にみても短いことが知られており,また睡眠に対する満足度も高くないことが知られている。このことは,睡眠に対する問題が潜在的に存在し,対策が求められていることを示唆する。厚生労働省では「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表し,知識の普及と睡眠の向上に努めている。多くの人々が求めるのは,「よりよい睡眠」をとりたいという健康科学的側面であるかもしれない。ピッツバーグ大学のBuysse はスリープヘルスという概念を提示し,睡眠を満足度,日中の覚醒度,(起床時刻のような)タイミング,効率(熟眠度),睡眠時間,といった多次元で評価することを提案しており,注目されている。上田生体時間プロジェクトでは,睡眠を健康評価につかい,健康の維持・増進につなげる「睡眠健診」という概念を提示し,必要な基礎技術であるウェアラブルデバイスを用いた睡眠覚醒判定法(ACCEL)の開発,大規模データを利用した睡眠覚醒クラスタリングの実施例を報告している。また2022年からは「子ども睡眠健診」プロジェクトとして,日本の子どもたちの睡眠の実態把握の試みを行っている。将来展望として,睡眠健診の制度化による睡眠計測をもとにした健康維持の仕組みを提案している。
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© 2024 一般社団法人日本睡眠環境学会
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