抄録
愛媛県下の石手川ダム湖において、堤体から0.3km上流の定点で、19年間にわたって2月に底泥を採取してクロロフィル分解産物(クロロフィル様物質)の含量を定量した。この含量(対数)を湖水表水層におけるクロロフィルa濃度の前年3月から2月までの平均値(対数)と比較したところ、正の関係を示す2本の回帰直線が得られた。1本は夏期に藻類が大増殖をしてクロロフィルa濃度の年平均値が高まった年に見られたが、底泥中のクロロフィル様物質の含量は相対的に低かった。この原因として、大増殖した渦鞭毛藻や藍藻などが他の回帰直線を形成した珪藻よりも水に浮遊しやすいために、湖底に落ちる前に、あるいは湖底堆積物の撹拌移動の際に、より多く分解されてしまったことが推定された。