抄録
讃岐平野では降水量が少ないため河川流量が少なく、さらに地形的な要因から流程が短く、昔から深刻な水不足に悩まされている。そのため、堰が河川内に数多く設けられており、河川水は灌漑用水として繰り返し利用されている。本研究では、このような河川構造が河川生態系に与える影響を生物地球化学的視点から明らかにすることを目的とし、讃岐平野中央部を流れる主要な二つの河川の河口堰において日_から_週レベルでの変動を調査した。その結果、両河口堰において多量の生元素の蓄積と藻類の大規模な発生が認められた。また、両河口堰は水温の上昇する夏期においては底層付近で還元的雰囲気が発達し、大規模なメタンの蓄積が確認された。