抄録
中国広西壮族自治区は世界的にも有名なカルスト地域が発達し、その面積は51%に及ぶ。七百弄は、中国広西壮族自治区の北部に位置し、弄群の総称とも言える。一つの弄すなわち一集落は、ドリーネの底部に位置する。多くの弄では、数十人の人々が閉鎖性社会を形成し、独立した生活を営んでいる。弄内には、河川がなくまた地質の保水能力も非常に低いため、住民の必要な水は降雨時の一時流出水やわずかな湧水に頼っている。筆者等は、弄内の水循環に着目し、質・量的に安全な生活用水の確保という視点で、1999年から弄石屯を対象に水質調査を開始した。生活用水使用後の排水の有効利用についても弄内の物質循環の把握という立場で検討することとした。