抄録
諏訪湖における底泥柱状試料中珪藻組成にみられる富栄養化の影響について調査を行なった。諏訪湖湖心から柱状試料を採取し、1cm毎に底泥重量あたりの珪藻の同定・計数を行なった。その結果、珪藻細胞密度は最小0.20×107 cells cm-3(深度48-49cm)から最大6.97×107 cells cm-3 (深度37-38cm)の範囲で変動した。急激な富栄養化が生じたとされる1960-70年代に堆積した層では細胞密度が前後の層に比べ高く、下水道の供用開始によって水質の改善が報告された1980年代の層では減少傾向がみられた。これらの結果から、表層を除く堆積物中の藻類の現存量は富栄養化の影響を明確に記録していることが明らかになった。