生物保全を考える上で保全対象となる生物種のEvolutionary Significant Unitの識別はきわめて重要である。琵琶湖周辺の内湖や湿地にはいくつかの絶滅危惧種が知られているが、それらの分類群におけるEvolutionary Significant Unitは必ずしも明らかになっているわけではない。 本研究では、特にタヌキモ類とミズワラビを取り上げ、タヌキモ類に関しては分類学的に混乱している各分類群の由来を、ミズワラビに関しては、近年、琵琶湖周辺の水田や用水路で増殖が認められる個体群の由来と分類学的な位置づけを、葉緑体および核DNAの分析によって明らかにした。