2008 年 54 巻 2 号 p. 97-116
小・中学校の養護教諭,スクールカウンセラー,特別支援教育コーディネーターら学習の評価を担わない職員19名を対象に,学校図書館をどのように認識しているのか,またその認識の変化の要因を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析を試みた。結果として,評価を担わない職員は,利用する前は用がなかったらいかない場とみていたが,特別な教育的ニーズをもつ児童生徒の同行をきっかけに学校図書館を資料・情報の源,生徒が落ち着ける場,社会へつながる場へと捉えていく。この認識の変化は,評価を担わない職員が学校司書を資料の専門家,学校司書の生徒への自然なかかわりをもちながら生徒の成長を考えるという姿勢を認識したことによるものであった。これらの特性から,適切な資料提供,共感理解による児童生徒の自己肯定,児童生徒の社会性を育てる教育的な支援が,学校図書館の特別な支援として示唆された。