日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: H403
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口演Ⅳ
視覚障害者15事例にみる雇用継続の実態
*下堂薗 保松坂 治男篠島 永一安達 文洋石山 朋史工藤 正一杉田 ひとみ吉泉 豊晴星野 史充
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抄録

【目的】今後の視覚障害者の雇用継続支援に役立てるために、視覚障害者雇用事例15例について、いかにして雇用を確保し、継続しているかを明らかにする。

【対象と方法】平成19年9月から10月、事前に郵便とメールにより配布した調査表に基づき、全国6地域の職場を訪問し、視覚障害者と所属する企業の人事部長等から個別に聞き取りを行った。就労の経緯から、復職5人、継続3人、新規3人、再就職4人に分類し、雇用継続の実態を分析した。なお、復職:休職した後同じ企業に職場復帰、継続:休職せず同じ企業に継続就労、新規:学校卒業後初就労、再就職:一旦退職後別企業に就職。

【結果】「復職」と「継続」では、会社側と本人はお互いに受障前から知っている関係にあるため、戸惑うことは少ないが、「新規」と「再就職」では、当初は会社側に不安感があり、一緒に働く中で、それらが払拭されているという特徴がある。共通する点は、以下の通りである。・本人の前向きな姿勢と自助努力によって現在の安定した地位を築いている。・職業訓練等のつながりで、業務効率向上が図られている。・会社側は貴重な戦力として捉えており、一層のキャリアアップを望んでいる。・責任ある職位に就かせている。各種助成金については、大部分の企業が活用していたが、休職中は対象外とされ、断念した例があった。申請手続きの簡素化、支給を早めて欲しいなどの希望があった。パソコン訓練を地元でできるように改善してほしいとの希望もあった。

【結論】本調査の対象者は、正社員として民間企業に雇用される重度視覚障害者であったが、雇用継続には本人の自助努力によるところが大きいことや、各種助成金制度も企業側にとって利用しづらいなどの実態が明らかとなったため、雇用継続支援策の充実が望まれる。
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© 2009 日本ロービジョン学会
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