日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: H402
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口演Ⅳ
中途視覚障害者の復職・雇用継続支援の効果的な連携
*工藤 正一新井 愛一郎下堂薗 保篠島 永一松坂 治男吉泉 豊晴
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抄録

【目的】2007年4月、国は視覚障害者に対する的確な雇用支援に関する通知を出した。我々は、2008年11月、都内にて、中途視覚障害者の雇用継続支援に関するセミナーを開催した。それらを踏まえ、支援体制の現状と問題点、課題を明らかにする。

【対象と方法】中途失明で職場復帰した1事例に関して、①本人の体験発表、②医療・職業リハビリテーション・経営者協会・労働組合・就労支援機関それぞれの立場から現状・課題発表、③当該企業トップの特別講演、④全体討論--を行い、そこでの発表内容を分析した。

【結果】ハローワークを中心とする支援体制はできたが、実績はまだ少ない。視覚障害者に対応できるジョブコーチなど人材も少ない。
 本事例の復職実現に決定的な役割を果たしたのは、受障初期段階からのロービジョンケアの実施であった。その際に、当事者の支援団体と密接な連携を図りつつ、医療→労働(障害者職業センター)→福祉(生活訓練)・職業訓練へと繋いだことが効果的だった。

【結論】中途視覚障害者の復職・雇用継続のための効果的な連携とは、ロービジョンケアの中で本人の障害受容を図りながら、就労支援機関に繋ぐことである。「医療→福祉→労働」という従来型の段階的なリハビリテーションの流れでは、休職期間満了で復職できない場合もあるので、「医療→労働→福祉」という流れが効果的である。それは、切れ目のない一貫したものでなければならない。その際、当事者を含む支援団体と連携を図ることが重要である。対企業ということを考えると、ハローワークを中心としたチーム支援が効果的であることが明らかとなった。さらに啓発を強め、ノウハウを交換し合うことが必要である。
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© 2009 日本ロービジョン学会
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