日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: H504
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口演Ⅴ
全国の眼科教授におけるロービジョンに対する意識調査
*鶴岡 三恵子安藤 伸朗白木 邦彦川瀬 和秀西田 朋美仲泊 聡
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抄録

【目的】全国の眼科教育機関のロービジョン(以下LV)ケアの実態と、所属長(教授)のLVケアに対する認識について調査を行った。

【対象と方法】全国の105の大学(および関連施設)を対象に、郵送にてアンケート調査を行った。平成20年10月15日から11月20日の間に、教授本人が回答するように依頼した。

【結果】61施設(58%)から回答を得た。東日本と西日本で回答率をみると、東日本:49%、西日本:52%で差を認めなかった(p=0.76)。LV外来の開設は、開設:79%、未開設:21%、東日本と西日本で開設率を見ると、東日本:93%、西日本:65%、Fisher's testで有意差を認めた(p=0.02)。LV外来の担当職種は、視能訓練士:82%、眼科医師:51% 、看護師:7%、歩行訓練士:3%、その他:5%であった。拡大鏡(ルーペ)や拡大読書器の常備、紹介・機器選定:72%、遮光眼鏡の常備、紹介・機器選定:70%、生活便利グッズや音声で使用可能な日常生活用具の関連資料を常備:51%であった。LVへの関心は、ある:97%、ない:3%であった。眼科医が、LVケアに関心が低い理由としては、人手が足りないから:84%、時間がかかるから:80%、保険点数がつかないから:59%であった。大学病院で医局員に対し、LVケアの教育指導は必要:80%、ときどき必要:20%であった。自身はLVケアを学ぶ機会では、参加したい:43%、参加しない:12%、内容による:45%であった。自身の外来で、術後LVケアを必要としている患者に対しては、LV外来に回している:57%、自分でケアしている:18%、他の施設に紹介している:6%、特に何もしていない:2%、その他:5%であった。自身の病院以外で、紹介できるLV外来が近隣にある:38%、ない:62%であった。

【結論】今回のアンケートで、全国の眼科教育機関の教授がLVケアに対し高い関心を持っていること、しかしLVケアの教育や普及に困難を伴っている現状が示された。今後、LVケアの普及と教育のためには、今回明らかとなった問題点に対して積極的なアプローチが求められる。
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© 2009 日本ロービジョン学会
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