日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: O_IV_
会議情報

O_IV_ 基礎研究
視覚障害者取得目的の周辺視野は静的プログラムで悪化する
*加茂 純子海野 明美星野 清司矢崎 ひろ子重松 友樹佐宗 真由美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】視覚障害者手帳申請時にハンフリーの全視野プログラムで、周辺視野を測った場合と、ゴールドマン視野計で測った場合、同一被検者で視力による面積、および、8経線の合計の度の違いを知る。【方法】2002.10-2003.8にハンフリー740型静的プログラム(全視野135点)で視覚障害者申請をした13名のうち、2004.4-2005.6の間にゴールドマン視野を測定しえた5名10眼につき、面積・長さ計算ソフト(Lenara1.02)を用いて5級判定のための、片眼ごとの視野面積、および8経線の合計のいわゆる正常に対する比に、どのくらいの差があったか知る。(対応のある平均の差t検定)視力は0.02から1.2に分布する。3例は糖尿病網膜症で汎光凝固を受けていた。2例は脳梗塞による不規則な半盲であった。【結果】面積については全視野135点の平均は5.7_%_、動的視野の平均は15.4_%_であり、両者には有意差があった。(p<0.05)経線については全視野135点の平均は12.4_%_に対し、動的視野の平均は38.3_%_であり両者には有意差があった。(p<0.05)。【結論】ハンフリーの全視野135点の刺激範囲は正常とされる視野の面積で60_%_、経線の刺激範囲は正常とされる経線の75.0_%_ともとより、狭い。特に糖尿病汎光凝固後では、有意に悪くなるのが分かった。5人のうち2人は、静的測定で視野2級と判定されていたものが、動的測定では5級となった。一度ハンフリーの静的全視野で視覚障害者手帳を取った人はもう一度動的視野をすることをすすめても、視野検査の屈辱感、疲労感を訴え、再度試みようとしない。従って、視覚障害者判定目的で現行の静的視野によるプログラムで全視野刺激をすべきでないと考えられた。

著者関連情報
© 2005 日本ロービジョン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top