日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: O_III_
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O_III_ 移動・環境/パソコン
ロービジョン患者のOrientation and Mobilityに関する困難と対応の分析
*尾形 真樹田中 恵津子西脇 友紀小田 浩一平形 明人樋田 哲夫
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抄録


【目的】:ロービジョン(以下、LV)外来における相談内容のうち移動(Orientation and Mobility; OM)困難については、読書困難に対するケアに比べて、着目される機会が少なかった。医療職のみで対応するロービジョン外来において、患者が抱えるOM困難とそれに対する対応の現状を分析し、問題点を探る。

【対象と方法】:対象は、2004年4月から2005年3月の期間内に杏林アイセンターでLVケアを受けた患者171例のうち、OM困難を訴えた88例(男性51例、女性37例、外来82例、入院6例、平均年齢63.9±16.2歳)。面談記録をもとに、患者から聴取した0M困難とそれへの対応を分析した。

【結果と考察】:主な疾患は黄斑疾患25例、糖尿病網膜症23例、網膜色素変性症18例、視力は平均0.83±0.65logMARであった。OM困難の主な内容は、羞明45/88例、段差検出38/88例、新規の場所での移動29/88例であった(重複回答有)。これらに対するケア内容は、1)残存視野利用法の説明、光学的補助具の処方など視覚利用を援助するケア68/88例、2)OM技術指導,院内歩行講習会・院外資源の紹介などOM技術習得を支援するケア49/88例、3)ガイドヘルパー利用説明などの情報提供6/88例、の3つに分類された(重複有)。院外のOM専門職の協力を必要としたのは、全88例中33例でその具体的内容は、白杖の種類・長さの選定、段差の対処方法、障害物回避方法の技術指導であった。しかし実際に患者が技術指導を受けたのは15/33例と半数に満たなかった。またその15例が技術指導を受けるまでの待機日数は平均52日と長期であった。入院患者のうち半数は入院中に急激な視力低下をきたし退院直後のOMの問題解決が非常に困難であった。これらの問題を解決するには、OM専門職による訓練の場を院内に設けることも一案であると考えられた。

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© 2005 日本ロービジョン学会
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