主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
現在、国内外を問わず、さまざまな分野においてユニバーサルデザインに対する関心が高まっている。ユニバーサルデザインの実現には、「照明」の果たす役割が非常に大きいといわれているが、未だロービジョン者の視覚特性に基づいた対応がとられているとはいい難い。特に、夜間街路や地下通路などの暗い照明環境下では、ロービジョン者は、視認能力が極端に低下することや、照明によるグレアを生じやすくなることが予想され、健常者とは異なる環境条件が求められる。ロービジョン者の歩行時の安全性の点から、このような環境条件を明らかにすることは、ユニバーサルデザインの実現において緊急かつ重要な課題だといえる。そこで本研究では、ロービジョン者の夜間の安全な通行を促す街路照明環境の現状について、通行上好ましくないもの、役立つもの、照明設備の具体的状況、改善策などの内容でアンケート調査を行った。その結果、ロービジョン者は光による情報を歩行時に入手してこれを日常的に活用していることや、夜間歩行時の光環境の実態について様々な問題点が明らかになった。