日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: O_II_
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O_II_ 職業・雇用/その他
中途視覚障害者の復職、雇用継続の支援
事例を通して連携のあり方を考える
*工藤 正一
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抄録

成人期の視覚障害者(中途視覚障害者)にとって、職業継続の問題はきわめて重要である。今日の厳しい経済情勢下ではなおさらである。視覚障害が原因でいったん退職すると、再就職は容易ではない。それ故に、退職することなく働きつづけられるようにすることが肝要である。そのためには、医療機関、訓練施設等との連携の下に、在職中のロービジョンケア(視覚障害リハビリテーション)を受け、働き続けられるようにしなければならない。タートルの会は1995年結成され、本年6月、結成10周年を迎えることができた。この間、一貫して中途視覚障害者の就労相談を行い、初期相談に力を入れてきたが、近年ようやく眼科医からの相談も増えてきた。しかし、まだまだ就労問題に理解ある眼科医は少ないのが実態である。ここでは、これまでの数多くの事例の中で、連携なしには職場復帰(復職)は不可能であったと思われる1事例を通して、連携のあり方について考えてみる。連携のパターンには様々あるが、当事者を中心にお互いの動きが見える関係が大切である。基本的には組織と組織の連携が望ましいと考えるが、現状では、なかなか難しいことも多い。現実的には、人と人との連携、いわば人脈による連携によるのが最も実践的である。眼科医がいかに関わるかでその人の方向性を決定付けることが少なくない。在職中に、「仕事を続けるには」という観点で、相談・助言・援助を得ることは有意義なことである。そういう意味で、就労問題に理解ある眼科医が切望されている。そして、ロービジョンケアのできる眼科医、視能訓練士、歩行訓練士等が職業カウンセラー等とも連携し、雇用管理サポートに関わることができれば、退職しないですむケースも増えてくるのではないだろうか。

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© 2005 日本ロービジョン学会
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