日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: S2-3
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シンポジウム II 理想のロービジョンケア体制を求めて Part 2
高知県の実情に適した連携づくりを目指して
*吉野 由美子
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抄録

高知県は、県土の80%が山間地で、島根に次ぐ超高齢化・少子化県である。3641人いる身体障害者手帳取得の視覚障害者の71%が65歳以上の高齢者で、18歳未満の手帳取得者は27名(2003年3月現在)で、その内の8割が中途視覚障害者である。1999年に私が高知女子大に赴任した時点で、視覚障害者向けの専門施設は、県立盲学校と市民図書館の中の点字図書館のみであった。
「視覚障害者のいわゆる日常生活訓練に対するニ-ズはない」と一般県民も福祉行政担当者も考えていたので、「視覚障害者訓練費」の予算は、年20万円という状態であった。「ニーズがない」から「訓練指導員の職がない」ということで、県費で「視覚障害者日常生活訓練指導員」の養成研修に出て認定資格を取得し、戻ってきたものの、その仕事に従事出来ないものもいるという状態であった。
そこで私たちは、「ニーズはあるが顕在化していないだけ」・「顕在化させるためには出前しなければだめ、便利グッズでも指導員でも使ってもらって便利だと実感してもらうこと」が大切であるということ、「高知県のような貧しい県では新しい施設を建てることや人員を増やすことを要求しても無理、現にあるものを活性化させシステム化するしかない」という二つの行動仮説を立て、約6年半活動を行って来た。
6年半の活動を通して見えてきたことは、「ニーズはたくさんある。顕在化させればさせるほど他職種との連携なしでは問題が解決出来なくなること」・「福祉と教育との連携は密になり始めたが、それだけでは、良いロービジョンケアーは出来ない。医療との連携が絶対に不可欠であること」・「県障害福祉課などの行政を巻き込むことが重要だが、要求するだけではだめ、アイディアを出して一緒に動かなければだめ」ということである。

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© 2005 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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