主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
神奈川ロービジョンネットワークは、医療・福祉・教育の連携を目的とした組織で、2000年より年2回の講習会と機関誌の発行を行ってきた。ロービジョンケアにおいては、それを眼科外来で完結できるものと考えるのではなく、視覚障害者更生施設や盲学校、そして地域のボランティアや患者団体などとも協力しあって患者にとって最前の策を検討していかなければならない。我々は、まず1997年に、神奈川リハビリテーション病院に週一回のロービジョン外来を 開設し、ロービジョンケアを七沢ライトホームの視覚障害訓練指導員とともに行なった。そして、この発想を拡大すべく、1999年に県内の関係スタッフ(眼科、盲学校、福祉関係者)に呼びかけた。目的は、互いの情報を交換することであった。はじめの3回の会合では、いずれも30~40名の参加があったが、眼科医は3~5名にすぎなかった。ロービジョン患者のほとんどは眼科に通院しているにもかかわらず、眼科医の参加が少なすぎると考え、県内の眼科医への啓蒙を本会のメインテーマとして、県眼科医会や県内の各大学の眼科との連携を強めるため、団体名を神奈川ロービジョンネットワークとし、組織を再編するとともに機関誌を一変して、これを県内の600あまりの眼科医に配布した。機関誌のこれまでの主なテーマは、「ロービジョンケア概説」、「福祉とボランティア活動」、「ロービジョン児の教育」、「視覚障害者団体の活動」、「地域のロービジョンネットワーク」、「弱視教育の変革」で、県内のロービジョンケアスタッフのための資料集になるようにと編集を行なった。こうして県内の眼科医への啓蒙を続けてきたが、現在、再び今後の方向性を慎重に考える時期に来ていると感じている。神奈川ロービジョンネットワークの5年を振り返り、その問題点とこれからの方向性について、とくに眼科医の役割に焦点をあてて検討したい。