抄録
歩行訓練士が、歩行訓練士として養成課程で学んだ本分での活動の実施を可能
とすることと、視覚障害者関係の諸団体の実質的な連携と連絡を重視した結果、
自活自営のリスクを背負いつつNPO法人になる道を選択し、今年で7年目を迎え
ている。スタッフの増員や減員も体験しつつ、毎年7~800の訪問訓練回数
(のべ人数)をこなし、様々な形態と内容での訓練現場の事例も蓄えつつあるが、
その一人一人の、あるいは1回1回の各種訓練の中で、実に多様な課題に対する解
決策を探求していく中で、それを突き詰めた時に「本人が練習して努力して獲得
できる自立」の部分と、「周囲の理解、社会の改善の中で支援をする部分」が浮
き彫りにされてくる。今回は、この後者に関して、具体的に現場から抽出し、そ
のことを遅々とさせずに社会の枠組みの中で理解や改善を実現していくために、
まさに今、歩行訓練士がなにをすべきかを提言したいと考えている。
発表の方法は、訪問による各種訓練の中でケース個々にでてきた問題から統一
的なものを探り出し、本人の努力だけでは解決困難な内容を抽出する作業を経て、
それを解決させるための活動をも紹介しつつ、しかし歩行訓練士全体で、あるい
は視覚障害者リハ関係全体で活動すべきではないかと思われる内容と、その活動
方法に言及し、それがなされるための歩行訓練士の全体的な組織のあり方につい
て提言してみたい。