日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第7回日本ロービジョン学会学術総会・第15回視覚障害リハビリテーション研究発表大会合同会議 プログラム・抄録集
セッションID: PII-38
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ポスター発表 II
QOL評価に基づいて院内施設で対応した移動訓練の一例
*尾形 真樹小田 浩一西脇 友紀田中 恵津子新井 千賀子平形 明人樋田 哲夫
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抄録
目的:ロービジョン(以下LV)外来受診患者の中には移動(Orientation & Mobility,以下O&M)困難を訴えるものの,院外のリハビリテーション施設での訓練を望まない症例がある.今回,歩行訓練士の指導下で病院内・近隣環境においてO&M訓練を試み,QOL評価(西脇ら, 2001)の結果,訓練効果が得られた症例を経験したので報告する.

症例:43歳,男性.2005年7月11日,LVケア目的で受診した.右眼失明,左眼は緑内障により視力0.1,視野は上下が各10度で中心部から左約60度にかけ横長に残存していた.

訓練方法:初診時のQOL評価のO&M項目から本症例のO&M困難度を分析した.その結果,特に段差への対処と夜間移動に困難を訴えたため,これらの改善に必要な訓練を行った.訓練は2005年7月11日から2006年2月23日の間に9回実施した.段差への対処は白杖基本操作と階段昇降技術の2項目,夜間移動は伝い歩きや車音を利用した方向維持方法,曲がり角の発見方法,移動用ライトの使い方,夜間の視覚的手がかり利用方法の5項目,合計7項目を訓練した.前者は院内の廊下や階段,後者は近隣の歩道で行った.訓練の効果を訓練期間内の中期(前者終了時),終期(後者終了時)にQOL評価のO&M項目の得点で判断し,訓練終了の基準とした.

結果と考察:本症例のO&Mに関するQOL総得点が初診時-12点,中期+4点,終期+11点と変化した(O&M項目総得点では最小-16?最大+16点).院内で訓練した技術が他のO&M項目に学習移転したか,あるいは訓練が症例自身のO&Mの自己評価を肯定的なものに変化させたためと考えられる.
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© 2006 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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