日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第9回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: PI-04
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アンケート調査から考える当院のロービジョンケア
*小林 薫荻嶋 優宮田 真由美大音 清香宮永 嘉隆
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抄録

【目的】  当院は網膜、硝子体疾患の患者が多く、それに伴いロービジョン患者も多く来院する。平成16年よりロービジョンケアとして補装具選定を行っており、徐々にその件数は増加してきている。これまでは患者からの要望で検査を行っていたが、今回ロービジョン患者を対象にアンケート調査を行うことにより、さらに積極的に多くの患者にケアを提供できる環境を整えることを目的とした。  また、今回の調査に伴い、視能訓練士の意識の変化にも着目することを目的とした。 【方法】  平成20年1月から6月までに来院した当院外来患者のうち、良い方の矯正視力が0.5未満である患者に、アンケートを実施。外出、羞明、読み書きなどの日常生活について聞き取り、補装具が有効と思われる患者を抽出し、情報提供及び検査を行なった。  さらに調査前後で視能訓練士にもアンケート調査を実施した。 【結果】  対象患者430名にアンケートを実施。アンケート実施前は相談件数33件、処方枚数41枚であったのに対し、実施後は相談件数76件、処方枚数85枚となり、相談件数、処方数共に増加した。  視能訓練士へのアンケート調査では、ロービジョンに対する意識が個々で高まり、積極的な関わりが持てるようになった、身体障害者手帳や補装具交付についての理解が深まったとの声が多かった。 【結論】  このことから定期的な診察を受けている患者の中にも補装具を必要としている者がいたことがわかった。 具体的に患者の日常生活について聞き取りを行ったことで、患者からの希望や提案などを踏まえ、その環境に応じた補装具選定が行えるようになった。そして患者の現状の受け止め方や医師の考えなどを考慮しつつ、より日常に沿った補装具選定が必要と考えられた。

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© 2008 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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