日本レーザー医学会誌
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特集「皮膚科医が行うレーザー治療」
ロングパルスアレキサンドライトレーザー照射による毛幹,毛包組織変性の病理組織学的検討
山田 裕道
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2006 年 27 巻 4 号 p. 280-284

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抄録

ロングパルスアレキサンドライトレーザーの脱毛治療時における毛幹・毛包組織の変化を病理組織学的に検討した.材料は27歳女性の頭皮.手術時に採取された余剰皮膚はレーザー照射された後,ホルマリン固定されHE染色に供された.用いたレーザー機種はGentle LASE LETM(Candela Corporation. Wayland.MA.USA)で波長755nm,パルス幅3msec,spot size 12mmである.照射出力は30 J/cm2で,皮膚を保護するための冷却装置dynamic cooling devices(DCD)を使用した.真皮上層から下層までにおいては,横断面,縦断面ともに毛幹組織の空胞変性と内毛根鞘から外毛根鞘にかけて変性像が見られた.表皮構造はよく保たれていた.脂肪組織中に存在する下部毛包および毛球部においては毛根鞘構造が破壊され,毛幹や内毛根鞘組織が脂肪組織中に逸脱している,興味深い像が認められた.以上の所見はDCDを用いたロングパルスアレキサンドライトレーザーによる脱毛治療の有効性と安全性を示唆するものと思われた.

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© 2006 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
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