日本レーザー医学会誌
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特集「耳鼻咽喉・頭頸部外科におけるレーザー治療」
口腔・咽頭領域におけるレーザー治療
齋藤 武久
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2009 年 30 巻 2 号 p. 152-158

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抄録
口腔・咽頭におけるレーザー手術の適応,応用,効果について,過去の報告をもとに論評した.これらの領域で使用されていたレーザーは,CO2, KTP/532,Nd:YAG, Ho:YAG, 半導体レーザーであった.レーザーは組織の切開,蒸散,あるいは組織表面の凝固に使用される.レーザー手術の適応は,表在性の悪性腫瘍,前癌病変(ロイコプラキア),その他の良性病変の切除である.KTP/532レーザーは血管腫に対して良い適応となる.口腔・咽頭におけるレーザーの最も良い応用は,扁桃手術(レーザー口蓋扁桃摘出術),閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する軟口蓋手術(レーザー口蓋垂軟口蓋形成術)や舌根正中部切除術である.レーザー手術の利点は,小血管を自然に閉塞する止血効果,ほとんど出血がない術野,顕微鏡下での正確な切開,そして縫合が不要であることである.さらに,レーザーによる切開・蒸散後の創においては,従来のメスによる切開創と比較して,瘢痕形成が少なかった.これは,たとえ大きな欠損ができた後でも,嚥下や会話機能において良好な成績が得られることにつながるという利点がある.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
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