抄録
単純性血管腫は毛細血管性血管奇形であり,真皮内に異常拡張した様々な径の毛細血管が存在する病態である.単純性血管腫に対する治療としては,拡張した異常血管を選択的に破壊する目的で1980年代にフラッシュランプ励起パルス色素レーザーが開発され,1999年には冷却装置を搭載した可変式長パルス幅フラッシュランプ励起パルス色素レーザーが登場し,治療効果は著しく向上した.しかしながら完全な消褪効果を得ることは困難であり,治療抵抗性の病変に対して,より長波長のパルスレーザーを使用したり,各種の照射方法の工夫がなされてきている.
本稿では,レーザー治療の歴史的変遷から単純性血管腫に対するレーザー治療の概略を解説する.