2018 年 39 巻 1 号 p. 67-98
本年度診療報酬改定に対する日本レーザー医学会社会保険委員会の取り組みとその結果について述べる.また,現在薬機法で承認されているレーザー機器及び保険収載されているレーザー治療を表としてまとめ,その詳細について述べる.
日本レーザー医学会社会保険委員会では,2018年4月の診療報酬改定に向けて,2016年8月よりホームページ上及び保険委員会委員にご意見をいただいた上,保険未収載技術の新規収載提案及び適正な診療報酬の改定が必要な既収載技術の改定提案を,外科系学会社会保険委員会連合を通じて行った.
今回の提案では,新規収載提案はなく,既収載技術に対して,「K169注2悪性脳腫瘍光線力学療法」,「K510-2光線力学療法」,及び「K526-4内視鏡的食道悪性腫瘍光線力学療法」の点数の見直し(増点)の提案をそれぞれ行った.これらすべてに対して提案が評価され,2018年4月の改定では増点となった.また,当学会からの提案はなかったが,口腔及び顔面手術に限定されるが,レーザー加算が復活した.今回の改定ではレーザー医療の分野以外でも費用対効果が評価されたと考えられる項目が目立ち,レーザー治療の優秀な費用対効果が認められたものと推測される.
①Accolade J
表在性及び深在性皮膚良性色素性疾患及び外傷性並びに入墨による刺青の治療を目的としたQスイッチアレキサンドライトレーザー装置である.2017年7月に承認された.J054−22Qスイッチレーザー療法に用いられる.保険対象疾患は太田母斑・異所性蒙古斑・外傷性色素斑となっている.
②CYCLO G6
レーザーの熱作用を利用して,緑内障などの眼疾患治療に用いることを目的とした半導体レーザー装置である.
③ジーシー ガスレーザー
歯科及び口腔外科疾患に対する軟組織の切開,止血,凝固及び蒸散を目的とした炭酸ガスレーザーである.
④ピュアYMレーザーM
生体組織の止血,切開,凝固,蒸散を目的とした炭酸ガスレーザーである.
2017年及び2018年に承認されたレーザー機器は,いずれも高出力レーザーであり,それぞれのレーザーの特性をよく知ったうえで使用しなければならない.日本レーザー医学会は関連学会と連携して安全教育等に協力している.医療におけるレーザー機器の使用法やレーザーの特性に関わる安全教育は日本レーザー医学会以外に適した学会はなく,今後も,関係学会との協力の上,日本レーザー医学会の果たすべき役割は重要となる.
2019年は診療報酬の大改定年ではないため,診療報酬に対する提案活動は限定的となるが,2020年に予定される大改定に向けた準備を行う.具体的には11月には外保連及び内保連経由での提案予定の技術についてのアンケートの締め切りとなる.ここで提案を希望する技術に優先順位をつけそのリストを回答する.外保連及び内保連では,複数学会から重複して提案が希望された技術につき調整を行い,担当学会を決め,担当学会となった際には,例年5月頃に提案書の提出締め切りとなるため,それまでに提案書を作成する.提案書の作成には,その技術の有用性を示す論文や使用する薬剤や機器の添付文書の提出が求められており,あらかじめ資料を収集しておく必要がある.また,今回の改定で費用対効果が重視されていることを述べたが,今後は費用対効果についての評価も重要となると考えられ,質調整生存年(Quality Adjusted Life years: QALY)等による費用対効果の算定や類似技術との費用対効果についての比較も行っていく必要がある.
現在保険収載されているレーザー治療に関する実態を調査した結果をTable 1からTable 4にまとめた.表の作成にあたっては,日本医用レーザ協会に協力いただいた.平成30年の医科と歯科の診療報酬点数表からレーザー治療に関係するものを抜粋し,まとめた(Table 1).Table 1には保険診療の[区分]と[名称],[保険点数],[留意事項],そして「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成30年3月5日保医発0305第1号)から算定方法の該当部分を抜粋し[通知]とし,さらに該当の保険診療で使用可能な[特定診療報酬算定医療機器の区分],またその医療機器の[一般的名称],そして実際に使用されている[装置名][製造販売元][販売元],最後に[現況]とし現在も製造販売されている装置には○,製造販売は中止されているがまだ市場で使用されている装置には△で区別した.
特定保険医療材料として償還されるディスポーザブル材料をTable 2にまとめた.Table 2には特定保険医療材料の[特定診療報酬算定/決定区分]と[償還価格],そして「特定保険医療材料の定義について」(平成30年3月5日保医発0305第13号)から該当部分を抜粋し[定義]とし,さらに「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について」(平成30年3月5日保医発0305第7号)から算定条件の該当部分を抜粋し[通知]とし,またその医療材料の[販売名],[製販業者名],[保険適用開始日],そして[承認番号]を記載した.Table 3にはディスポーザブルのレーザー関連デリバリーシステムをまとめて再掲した.ディスポーザブル材料の[一般的名称],そして[販売名][製販業者名][販売会社名][承認年月日][承認番号][使用目的及び効能・効果]とした.製造販売は中止されているがまだ市場で使用されている材料は確認できなかった.
Table 4は波長別のレーザー機器112機種を,日本医用レーザ協会加盟企業から収集した情報をベースに作成した.各社から情報提供された機器に関し波長順に(短→長)並べた.Table 4中の項目は[波長][レーザーの種類][販売名][製造販売会社名][販売会社名]そして[承認年月日]と[承認番号].[波長]は複数の波長を発振できる装置は代表的な波長を[波長①]に,その他を[波長②]に記載した.医療機器は改良が加えられていくのが常であり,ここにも一変申請されている装置が多くあるが,承認日は最初のモデルが承認された日とした.また[使用目的及び効能・効果]の項には,承認書に記載されている文言をそのまま記載した.[現況]は先の説明の通り,[保険]にはその装置で可能な保険診療を,Table 1で振った一連の番号で記載した.
今回これらの表を作成するにあたりご協力いただいた日本医用レーザ協会および日本眼科医療機器協会の会員会社の一覧をTable 5とした.
平成30年度診療報酬改定では,「K169注2悪性脳腫瘍光線力学療法」,「K510-2光線力学療法」,及び「K526-4内視鏡的食道悪性腫瘍光線力学療法」が増点された.また,レーザー加算が部分的に復活した.レーザー技術を応用した医療技術は概して費用対効果が良くQOLに対しても高い改善効果が期待されており,引き続きレーザー治療の普及に向けて活動を行っていく.また,レーザー関連の新規技術に関しては日本レーザー医学会の果たす役割は重要であり,産官学の連携を密にして安全なレーザー技術の普及に向けて活動を行っていくことが必要である.
利益相反なし.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of insurance classification.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Special treatment materials related to laser device.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Approved medical device of light-delivery system related to laser device.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of wavelength.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
*2保険:Table 1の同番号の治療で使用可能
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of wavelength.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
*2保険:Table 1の同番号の治療で使用可能
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of wavelength.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
*2保険:Table 1の同番号の治療で使用可能
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Laser devices arranged in the order of wavelength.
*1現況:○=販売中,△=まだ市場で使用されているが販売は終了.
*2保険:Table 1の同番号の治療で使用可能
(注)2018年3月14日現在の,日本医用レーザ協会による調査に対しての回答による.
Cooperative companies for investigation.