LED(Light-Emitting Diode,発光ダイオード)照射による糖尿病に対する効果を,自然発症の2型糖尿病モデルラットであるGK(非肥満),Zucker(肥満)ラットおよびstreptozotocin誘発糖尿病ラット(STZ,1型糖尿病モデル)の血液生化学値および炎症性サイトカインに対する影響を検討した.動物は1群7匹とし,GK,ZukerおよびSTZラットを非照射群とLED照射群に分け,LED群には,波長850 nm,総照射エネルギー密度10 J/cm2,照射時間8分20秒とし1週間に3回,12週間腹部消化管部位に照射した.血清中のグルコース,総コレステロール,トリグリセリド,インスリン,炎症性サイトカインはTNF-α,IL1-βおよびIL-6を測定した.ZukerのLED照射群は,非照射群と比較して体重の減少を認めた.GK,ZukerおよびSTZのLED照射群は,非照射群に比べ血中のグルコース,コレステロール濃度の上昇を軽度に抑制した.ZukerのLED照射群は,非照射群に比べ血中TNF-α,IL1-βおよびIL-6濃度の上昇を有意(5.1 ± 1.1 vs. 3.8 ± 0.6, P < 0.05; 43.6 ± 8.8 vs. 29.8 ± 5.4, P < 0.05; 98.3 ± 15.8 vs. 68.1 ± 13.7, P < 0.01)に低下させた.LED照射は,肥満を伴う2型糖尿病モデルラットのZukerによって,過剰に産生される血中炎症性サイトカイン濃度を抑制した.
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