日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
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39 巻, 1 号
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会告
一般
原著
  • 久保山 昇, 野地 一成, 岩井 聡, 三枝 禎
    原稿種別: 原著
    2018 年 39 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/05/30
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    LED(Light-Emitting Diode,発光ダイオード)照射による糖尿病に対する効果を,自然発症の2型糖尿病モデルラットであるGK(非肥満),Zucker(肥満)ラットおよびstreptozotocin誘発糖尿病ラット(STZ,1型糖尿病モデル)の血液生化学値および炎症性サイトカインに対する影響を検討した.動物は1群7匹とし,GK,ZukerおよびSTZラットを非照射群とLED照射群に分け,LED群には,波長850 nm,総照射エネルギー密度10 J/cm2,照射時間8分20秒とし1週間に3回,12週間腹部消化管部位に照射した.血清中のグルコース,総コレステロール,トリグリセリド,インスリン,炎症性サイトカインはTNF-α,IL1-βおよびIL-6を測定した.ZukerのLED照射群は,非照射群と比較して体重の減少を認めた.GK,ZukerおよびSTZのLED照射群は,非照射群に比べ血中のグルコース,コレステロール濃度の上昇を軽度に抑制した.ZukerのLED照射群は,非照射群に比べ血中TNF-α,IL1-βおよびIL-6濃度の上昇を有意(5.1 ± 1.1 vs. 3.8 ± 0.6, P < 0.05; 43.6 ± 8.8 vs. 29.8 ± 5.4, P < 0.05; 98.3 ± 15.8 vs. 68.1 ± 13.7, P < 0.01)に低下させた.LED照射は,肥満を伴う2型糖尿病モデルラットのZukerによって,過剰に産生される血中炎症性サイトカイン濃度を抑制した.

  • 阿賀野 俊孝, 佐藤 直人, 繁田 裕介, 上村 哲司, 粟津 邦男
    原稿種別: 原著
    2018 年 39 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/07/05
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    リンパ系の非侵襲なin vivoイメージングは,リンパ管の機能を解析したり,転移への寄与を検討したりするのに大変に重要である.我々は,多波長を使ったリアルタイム光音響画像化システムを使用して,初めてヒトのリンパ系のリアルタイム画像化を実現した.血管とリンパ系を同時に画像化でき,病態におけるリンパ系と血管系の交絡に関する詳細な情報を得られる可能性がある.更に,治療にも役立っていくと期待される.

歯科でのOCTの応用に関する特集
総説
  • 島田 康史, 中川 寿一, 松浦 千尋, 林 樹莉, サダル アリレザ, 中嶋 省志, 角 保徳, 田上 順次, 吉山 昌宏
    原稿種別: 総説
    2018 年 39 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/06/26
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    歯科医療現場における齲蝕の診断は困難を伴い,病変の深さや拡がりを正確に行う非侵襲的な画像表示方法の開発が望まれている.歯科用X線写真の初期齲蝕に対する感度は低く,透過像として検出できるのは象牙質内部まで深く進行している病変であることが多い.本研究は光干渉断層計(OCT)を用いた齲蝕の診断精度の検証を目的とし,in vitroおよびin vivo実験を行った.平滑面齲蝕,咬合面齲蝕,隣接面齲蝕ならびにコンポジットレジン修復の窩底部の齲蝕に対するSS-OCTの感度,特異度,受信者動作特性曲線の面積を計測し,視診またはX線写真の結果と比較した.SS-OCTの断層画像では,齲蝕病変部を輝度の上昇によって表示することができた.厚さ2 mmまでのコンポジットレジン修復窩底部の齲蝕も明るく表示され,健全な窩底象牙質と区別することができた.

  • 島田 康史, 今井 加奈子, セガラ ミッシェル, 和田 郁美, サダル アリレザ, 中嶋 省志, 角 保徳, 田上 順次, 吉山 昌宏
    原稿種別: 総説
    2018 年 39 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/06/26
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    高齢者人口の急激な増加により歯の亀裂と摩耗が増加し,病変の進行が新たな課題となっている.光干渉断層計(OCT)は生体組織の内部から反射する後方散乱光を計測し,断層画像を構築することから,これらの病的変化の診断が可能と思われる.本研究では,OCTを用いて歯の亀裂と摩耗の観察を行い,評価を試みた.波長掃引型(SS-)OCTを用いると,後方散乱光シグナルによってエナメル質亀裂の有無と深さを観察することができ,象牙質まで侵入した亀裂も正確に診断することができた.また3D SS-OCTの評価により,エナメル質亀裂の形態が歯の発症部位によって異なることがわかった.非齲蝕性歯頚部欠損(NCCL)はセメント-エナメル境付近の欠損であり,齲蝕以外の原因によって発症する.In vivoのNCCLについてSS-OCTの断層画像を撮影し,NCCLの大きさと歯頚部エナメル質の亀裂,脱灰を調査し比較した.また,臨床でみられる咬合面の摩耗についてSS-OCTによる観察を行った結果,エナメル質と象牙質の残存歯質を表示することができた.

  • 坪川 正樹, 青木 章, 柿﨑 翔, 水谷 幸嗣, 角 保徳, 和泉 雄一
    原稿種別: 総説
    2018 年 39 巻 1 号 p. 37-49
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/06/26
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    歯周治療において,治療前・治療中・治療後の歯周組織の状態を評価することは最も重要な行為の一つである.光干渉断層画像計(OCT)は,非接触,非侵襲,高解像度という歯周硬組織,軟組織の断層診断に適した特徴を有する断層画像診断システムである.本稿では,現在までの歯周組織への応用の歴史を概説し,歯周治療における画像診断機器としてのOCTの可能性を解説する.

  • 飯野 由子, 海老原 新, 砂川 光宏, 興地 隆史
    原稿種別: 総説
    2018 年 39 巻 1 号 p. 50-58
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/05/30
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    歯内療法とは,歯髄疾患あるいは根尖性歯周疾患に対して,原因となる根管内細菌感染を制御するとともに再感染を防止し,歯を保存する治療方法である.歯内療法を遂行するにあたり,その治療対象である歯髄腔および根管形態の複雑さを三次元的に把握することが必要不可欠である.光干渉断層計(OCT)は,近赤外光を用いて非侵襲的に組織内部の精密断層像が得られる医療撮像用技術である.本稿では,歯髄腔や根管の検出,根尖切除時の根尖部の観察,垂直性歯根破折の診断など,歯内療法のさまざまな臨床的局面におけるOCTの応用の可能性について,著者らの基礎的研究結果を中心に概説する.

原著
  • 鹿熊 秀雄
    原稿種別: 原著
    2018 年 39 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/08/08
    [早期公開] 公開日: 2018/06/26
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    OCTという装置が実現してから30年近く経過した.この間,特に眼科領域での研究が精力的に行われ多くの成功を収めてきた.これは,眼球などの眼組織が光学部品に似たものであり比較的チャレンジしやすかったこともその理由の一つであると思われる.ところが歯科分野で対象となる歯は眼科分野のものとは明らかに異なっており複雑な形をしている.近年歯科の分野でもOCTを使った研究が徐々に進み研究発表がなされてきたが,未だ製造認可を得て市販されている歯科用OCT装置は世界に存在しない.この状況を打破したいとの思いから,歯科用OCT装置の研究開発を始めた.このほど臨床に適した装置を開発したのでその機能と構造を紹介する.

平成30年診療報酬改定におけるレーザー治療
総説
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