2020 年 41 巻 2 号 p. 104-109
Near-Infrared photoimmunothreapy(NIR-PIT)は,がん細胞表面の抗原に特異的な抗体に 近赤外線に反応するprobeをつけ,局所的に近赤外線を当てる事で治療を行う,次世代の革新的癌治療である.本研究は,probe(化学)と抗体(生物学,医学,薬学)を至適条件下でconjugationし薬剤化し(conjugation chemistry)さらに近赤外光線(光学・物理学)を加えた治療法を行う学際的な治療法である.革新的なターゲット局所治療として,高い評価を得ており,現在国際Phase III試験が既に始まっており,(LUZERA-301),数年以内の認可が期待される.しかしながら,NIR-PITの詳しい細胞死のメカニズムはこれまで良くわかっていなかった.本総説では,NIR-PITの概要と,今回明らかにした,新しい光細胞死の機序について概説する.