論文ID: jslsm-40_0001
レーザー治療は,現在歯科領域で広く普及しているが,口腔の狭い領域での事故を防ぐために安全対策について考慮する必要がある.現在,多くの種類のレーザーが使用されているが,CO2,Nd:YAG,Er:YAG,半導体レーザーが最も頻繁に使用されている.これらのレーザーの応用は,生物学的組織に対して所望の熱効果を達成するために高出力を使用する必要がある.過度の熱エネルギーは,照射領域に隣接する組織および歯槽骨壊死をもたらす.したがって,レーザーを使用する前に,組織相互作用に関する十分な知識を得ておく必要がある.また歯科におけるレーザー治療後の皮下気腫についていくつかの報告がある.口腔中で歯槽膿瘍の外科的レーザ切開中に,圧縮された冷却空気流があるときは医原性皮下気腫の合併症が起こることがあることに留意すべきである.歯科用レーザーの使用に関するこれらの合併症を回避するためには,口腔の解剖学的特徴および各レーザーの特徴を考慮した基礎知識および技術を念頭に置かねばならない.