論文ID: jslsm-40_0012
1960年代以降,低出力レーザー照射(Low-reactive level laser/light therapy: LLLT)による生体賦活作用について基礎研究および臨床応用が進められてきた.中でも組織浸透性が高い近赤外から赤外領域の半導体レーザーを用いた研究は数多くなされており,歯科領域においてもin vitroでは歯肉線維芽細胞,骨芽細胞,歯根膜細胞,間葉系幹細胞などにおいて増殖,遊走,分化などが促進されることが示されており,in vivoにおいても口腔内の創傷治癒や骨形成を促進することが報告されている.現在,歯科治療においてより低侵襲で安全性の高い再生療法の術式が求められており,LLLTはその一助となることが期待されている.本総説ではこれまでに報告された半導体レーザーを用いたLLLTの基礎研究と臨床研究をレビューするとともに,口腔内の組織の治癒および再生へのLLLTの応用の可能性について検討していく.