我々は膠芽腫辺縁部の浸潤細胞を把握する方法として,11C-Methionine(Met)-positron emission tomography(PET)を用いたMet集積率の評価やmagnetic resonance spectroscopy(MRS)を用いた代謝解析の有用性を報告してきた.更に最近では一般的な5-アミノレブリン酸による光線力学診断(5-aminolevulinic acid photodynamic diagnosis: 5-ALA-PDD)に加え,紫色レーザー光を用いたSpectroscopyにより摘出腔辺縁部の蛍光強度を定量評価することで,術中リアルタイムに浸潤範囲を同定する作業を行っている.我々は摘出術に際して切除範囲の指標を3つ設けており,11C-Met-PETにおけるTNRが1.4以上の部位まで,MRSにおけるLactate/Creatin比が0.66以上の部位まで,術中の5-ALA-PDD定量評価における蛍光強度が1,000 a.u.以上の部位までとしているが,本稿では,従来の手術支援機器による腫瘍摘出術の長所と短所を述べると共に,現在,我々の施設で進めている「5-ALA-PDDを利用した腫瘍浸潤部を見極めるための取り組み」を紹介したい.
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