1991 年 11 巻 4 号 p. 21-28
1977年以来本邦における炭酸ガスレーザーは皮膚科・形成外科領域で主にメスとして用いられてきた。しかしその後メスとしてよりも蒸散能力が高く評価されてきた。我々も母斑細胞母斑, 疣贅, 血管腫, 脂漏性角化症などを蒸散により治療し良好な結果を得ている。しかしこの結果は術者の技量により, また腫瘤の組織学的特徴により左右される。そこで我々は組織学的観点から蒸散の適応を検討した。表皮のみでなく, 真皮特に深層まで及ぶ腫瘤は不完全な照射では再発, また過照射では瘢痕形成などの恐れがあるため, 照射の適応とはなり難いと考えられた。疣資では蒸散のみでは不完全な治療に終わるものもあり, メスとして使用し切除を併用した方が良かった。
CO2レーザー治療の際よりよい結果を得るためにはあらかじめ組織学的特徴を考え合わせた上で蒸散等の適応を決めるべきであると思われた。